夏の妙高はまさに蛍が

行き交う人にささげる漂う天子のようだ

はるか先の妙高の山陰を月明かりが映し出す。

あまりの星が一時心を無とする。

七年もの月日をかけ妙高の山は聖水を田畑に運び

出ずる。そこはまさしく 星降る故郷  妙高。

新潟産妙高こしひかり
「 星降る里 」オリジナル袋ができた分け

特別栽培米コシヒカリの産直販売を始めて四年。本格的窯業経営に取り組む小出農場には昨年、念願の低温倉庫が、精米施設とともに完成した。

中山間地活性化事業による県・村の補助を受けてのものだ。「米は生き物。玄米の状態でも気温十人℃を超すと芽を出そうとする。発芽しなくても、芽を出そうとするだけで風味は落ちてしまう。

 この倉席は、センサーつきの空調システムが24時間作動して、新米の鮮度・品質を維持するベストコンデションを保っているのだ。バグローン(糠とり)・ピックストーン(小石除去)・カラーマスター(センサーで虫食いやイモチ米を除去)など、丈高い精米機槻が林立して計量機につながっている。

 小出農場の耕地面積は小作分を含めて十七町歩。総生産量約千五百俵の三分の一が低農薬・有機栽培・自家製純コシヒカリ百%の特栽米で、味の良さはもちろん、安全な米であることも大切な要素だ。

 百三十件の年間契約を受けた小出さんは、奥さん、娘さん、母親トンノさんと、一家総出で精米と出荷をこなして新年を迎えている。顧客の七割が東京、三割が関西。PRはチラシのみ。ロコミで広がった顧客名簿が貴重な財産だ。「一度食べれば、必ずひき続いて注文が来る。」と、小出さんは胸を張る。

 生産者と消費者、お互いに顔の見える信用取引。ダイレクトな関係で安心を保証。都会の販売業者や大手スーパーには出来ない付加価値だ。「今秋の食管法改正で、やる気のある農家にとって面白い時代になる。自由販売になれば、自分の作る米をどう売るかが課題になる。」

 現在の農業形態には、専業農家・兼業農家・レジャー農業 (定年退職後の健康管理とアウトドアライフ志向)とがあるが、小出さんはプロの農業者として生き残る道を真剣に模索し、農業者の意識改革を切実に考えている。「これからの農業に必要なのは情報収集と経営管理。農政と米の流通をきちんと肥握することだ。」 と、断言する。

 稲作経営者会議や各種団体、勉強会、意見交換の場などに小出さんは積極的に参加し、情報を吸収する。地域の中で、井の中の蛙でいてはダメだ。積極的に外を見る。人の知恵はしっかり盗む。つまり、良いことはどんどん取り入れて、自分自身も試行錯誤しながら身につけていく。「農業は儲からないという愚痴ばかりでは、何も進歩がない。気持ちも暗くなるし、せっかくの米もマズクなる。」農業で生計を立てるという自覚をしっかり持つことが、地域の活性化にもつながる大切なことだと考えるからだ。

 田絶えや収穫の繁忙期には臨時オペレーターとして斑尾のペンション・オーナーたちが応援に釆てくれる。彼らの多くは都会出身者だが、むしろ彼らの方が農業にマイナスのイメージを持っていない。そんな感覚を彼らから逆に学ぶのも、小出さんの農業プラス思考の一助になっているようだ。

 冷たくておいしい水と、昼夜の温度差が、妙高のおいしいコシヒカリを育む。この妙高産コシヒカリブランドの確立を、地域で共に取り組んでいけたらというのが、小出さんの願いなのだといいう。

妙高村広報 1995.2月号より)

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