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山蚕・天蚕は「繊維のダイヤモンド」とも呼ばれ、各地で天蚕糸を使用したブローチ,名刺入れ,材布などの小物,ネクタイ,マフラー,ショール,テーブルセンター,反物,袱紗(ふくさ),家紋碩,仏壇用の打敷などが製作され、それらは最高級品として販売されている。 成虫の体色および麹色は、ガ類ではめずらしく変異に富み、黄色,赤褐色,黒褐色など、さまざまな色彩をもつ。翅は大きく、前後翅ともに太い横縞(じま)(外横線)と大きな目玉模様があり、オスの前翅の先はメスのものより突出する. また、オスの触角は羽毛状で大きく、メスのものは細いので、雌雄の区別は簡単である。成虫は口吻が退化して何も食べられない。齢幼虫は頭部がコバルトブルー色、体色が緑色で、葉色と保護色になっている。そのため、幼虫を見つけようとしてもなかなか発見することはできない。終齢幼虫は大型のいもむしで、体長7〜8cm,体重17〜20g(カイコの4倍)にもなる。 ヤママユは全国各地の山野に生息している.幼虫は、クヌギ,アベマキ,コナラなどのブナ科に属する植物の葉を好んで食べ、その他バラ科,ヤマモモ科,ヤナギ料,マンサク村などに属する若干の植物の葉も食べる。しかし、飼育樹としてはクヌギがいちばん適している。クヌギなどの落葉性のブナ科植物は、ヤママユのほか、それ以外のガの幼虫類、アブラムシ類、甲虫類など、数多くの動物たちの生活の場となっている。ヤママユ幼虫のノミ放として,鳥類,ハチ類のほか、アリ類,寄生バチ,寄生バエ,カマキリ,ヤブキリ,クモ顆などがあげられ、また、核多角体ウイルスなどの病気も発生している。 ヤママユは1化性で,卵の状態で越冬する。近畿地方では、食樹であるクヌギなどが芽吹く4月中・下旬ごろにふ化する.ふ化幼虫は頭色が赤褐色,体色が黄色で,芽吹いた若葉を食べる。幼虫は水を飲む習性があり、葉や杖についた水を飲みながら葉を食べて成長し、4回の脱皮をへて大きな緑色の終齢幼虫となる。幼虫はあまり移動せず、ふつう枝の下側にぶら下がっている。幼虫の腹脚(ぶくきゃく)と尾脚の握力は非常に強く、幼虫を技から離そうとしてもなかなか離すことができない、むりに離そうとすると幼虫の腹脚はちぎれてしまうこともある。 老熟した幼虫は,6月上・中旬ごろ、ふ化から50〜60日で葉を数枚つづりあわせてまゆをつくりはじめ、3日ほどで葉と同色のまゆが完成する。ヤママユのまゆは緑色に輝き,高価な糸の原料になる。1個のまゆからは、長さ600〜700m(カイコの2分の1)、太さ5〜6デニール(カイコの2倍)、重さ0.25〜0.30gの天蚕糸がとれる。老熟幼虫はまゆをつくりはじめてからおよそ1週間で蛹化(ようか)し、蛹まそのまま初秋季まで休眠する.近畿地方では、成虫はおもに9月に羽化し、ただちに交尾する。羽化は夕刻から夜半にかけて、交尾は夜間に行なわれる。メス成虫は食樹の小枝などに5−20粒の小さな卵魂で,合計200〜300粒程度を産卵する。幼虫の体は、卵殻内で産卵後およそ10日ででき上がり、その状態で休眠・越冬する。 自然での卵ははとんどが受精卵だが、人工的に交尾させるとかなり受精率が低下する。ヤママユの交尾は蛹期や成虫の交尾期の温度,日射量,日長バランス,風量などが微妙に影響すると考えられ、オスとメスの成虫を1つの籠(かご)のなかに入れても条件がととのわないと交尾が成立しにくい。ヤママユは同属のサクサンと近緑であり、交配も可能である。 日本動物大百科 昆虫U寺本憲之 |
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